ウェルビーイング・デバイス|ヘルスケア、スリープテック、フェムテック

ウェルビーイングとヘルスケアの関係

近年、「ウェルビーイング」や「ヘルスケア」という言葉を良く聞きますが、それぞれどのような意味を持ちどのような関係性があるのでしょうか。
「ウェルビーイング」は直訳すると「良い状態にある」ということ。日本WHO協会には、次のように記されています。

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます。 (出典:公益社団法人日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」)

これは、身体的だけでなく、精神的にも社会的にも良い状態であることが、健康であるということを示しています。
この、「ウェルビーイング」はSDGs(持続可能な開発目標)に掲げられている17の目標のうち、3つ目の目標にも登場しています。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being)」
「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」 

この「Good Health」は「Well-Being」と並び、重要な項目となっています。

ヘルスケアとは、健康の維持や増進のための行為や健康管理のこと。 「未病」という概念や予防としても注目されています。

また、公益財団法人日本ヘルスケア協会においては、次のように定義されています。

ヘルスケアとは、分析の知と臨床の知との対話の下で、産業横断的に提案される価値の創造を通じて、人々が「よく生きること(well-being)」をめざし、個人的にも社会的にも、より少ない負担で、病気や心身の不調からの「自由」を実現し、かつ自らの「生きる力」を引き上げていくための手伝いをする諸活動である。 (公益財団法人日本ヘルスケア協会(JAHI)

「ウェルビーイング=良い状態にある」ためには、「ヘルスケア」が欠かせないということが分かります。

ヘルスケアの重要性

ヘルスケアの領域が大事であり、注目される理由は、ウェルビーイングの向上に直結するからです。具体的には下記の理由が挙げられます。

1. 身体的健康の維持と向上

ヘルスケアは、病気の予防、早期発見、治療を通じて身体的健康を守るための基盤です。定期的な健康チェックや予防接種、適切な治療は、病気の進行を防ぎ、健康寿命を延ばします。これにより、人々は日常生活を支障なく送ることができ、身体的に良好な状態を保つためには欠かせません。

2. 精神的健康のサポート

精神的健康は、ウェルビーイングの重要な側面です。ストレス管理、メンタルヘルスケア、心理的支援などを通じて、精神的な安定と幸福感を維持することができます。精神的な健康が保たれることで、日常のストレスや困難に対処する力が強化され、生活の質が向上します。

3. 社会的健康の促進

ヘルスケアは、個人が社会的に健全な生活を送るための基盤を提供します。健康な身体と精神は、良好な人間関係を築き、社会的な役割を果たすために不可欠です。ヘルスケアの充実により、コミュニティ全体の健康が向上し、社会的なウェルビーイングも促進されることが期待されます。

4. 予防医療の重要性

予防医療は、病気を未然に防ぐことを目的としています。定期的な健康診断やスクリーニング、健康教育は、生活習慣病や慢性疾患の発症を防ぎます。予防医療に注力することで、医療費の削減や生活の質の向上が期待されます。これにより、個人だけでなく社会全体のウェルビーイングが向上が目指されています。

5. テクノロジーの進化とアクセスの向上

最新のヘルステクノロジー(例えば、デジタルヘルス、ウェアラブルデバイス、リモート診療)は、個人の健康管理をサポートし、医療へのアクセスを向上させます。これにより、健康データの収集と分析が容易になり、個別化された医療が提供されることが指摘されています。テクノロジーの進化は、より効果的で効率的なヘルスケアサービスの提供を可能にし、ウェルビーイングの向上に寄与することが期待されます。

6. 経済的安定の確保

健康は、個人の生産性と経済的安定に直接影響します。健康状態が良好であれば、仕事に対するパフォーマンスが向上し、経済的な安定が得られます。逆に、健康問題があると医療費がかかり、経済的な負担が増大します。健康であることは、個人および社会全体の経済的ウェルビーイングを維持するために重要であるとして、近年は企業での活動も活発に行われています。

ヘルスケアの領域が大事であり、注目される理由は、ウェルビーイングの向上に不可欠であることが分かります。身体的、精神的、社会的健康のすべてが揃ってこそ、人々は真の意味で充実した生活を送ることができます。予防医療の強化、テクノロジーの活用、そして健康への投資は、個人および社会全体のウェルビーイングを高めるために重要な要素です。

注目されている理由と事業への活用

注目されている理由

1. 予防医療の重視

予防医療に対する意識の高まりにより、健康診断や予防接種などのサービスへの需要が増えています。企業や自治体も従業員や住民の健康管理に力を入れており、ヘルスケアサービスの市場が拡大しています。

2. 在宅医療のニーズ

高齢者や慢性疾患を持つ患者の増加に伴い、在宅での医療や介護サービスの需要が高まっています。これにより、訪問看護や在宅リハビリテーションなどのサービスが拡充されています。

3. デジタルヘルスケアの進展

スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用したデジタルヘルスケアが普及しています。これにより、個人が自分の健康状態をリアルタイムで管理できるようになり、健康管理アプリやオンライン診療の需要が急増しています。

事業への活用

1. 予防医療・健康診断事業

企業や自治体が従業員や住民に対して健康診断を提供することが一般的です。予防医療に特化した健康管理媒体を運営する企業も少なくなく、定期健康診断や生活習慣病予防プログラムを提供しています。

2. 在宅医療サービス

在宅での医療や介護サービスを提供する事業は、急速に成長しています。訪問看護や訪問介護、在宅リハビリテーションなどのサービスを全国で展開する企業もあり、多くの高齢者やその家族に利用しています。

3. デジタルヘルスケア事業

デジタルヘルスケア事業は、急速に拡大しています。オンライン診療プラットフォームでは、患者が自宅から医師の診察を受けられるサービスを提供されています。また、ウェアラブルデバイスを活用した健康管理アプリも多数存在し、個人の健康データをリアルタイムで管理・分析することが可能です。

4. メディカルツーリズム

海外からの患者を受け入れるメディカルツーリズムも注目されています。日本の高度な医療技術やサービスは、外国人患者にとって魅力的です。外国人患者向けの医療サービスを提供する病院もあり、多くの海外からの患者が訪れています。

これらの詳細はこちらの記事をご覧ください。

改善のために健康や体調の不調を感じた時に行いたいケア

健康や体調の不調を感じている人々にとって、適切な対策を講じることは生活の質を向上させるために重要です。不調の原因を理解し、それに対する効果的なケアを行うことで、より健康で充実した生活を送ることができます。一般的な不調の原因とケアの例を紹介します。

1. ストレス管理

  • 原因: 現代病ともいわれる「ストレス」ー日常生活や仕事上で人間関係のストレスが積み重なると、心身に負担がかかり、不調を引き起こすことは近年より注視されています。気付かないうちに抱えてしまうことも問題であり、日常生活や仕事を行うことが困難な症状が出てしまうことも懸念されています。
  • ケア:ストレスを蓄積させないこと、蓄積する前に発散させることが大切です。
    • リラクゼーションテクニック: 瞑想、ヨガ、深呼吸などのリラクゼーション方法を取り入れる。
      マインドフルネスや呼吸法など様々な方法があります。
    • 時間管理: 効率的なスケジュール管理を行い、過度な負担を避ける。
    • 趣味活動: 趣味や好きな活動に時間を割き、リフレッシュする。

2. 不適切な食生活

  • 原因: 偏った食事や栄養不足が、体調不良の原因となることがあります。忙しい現代人は特に食事が偏ったり、抜いたりしてしまうことが懸念されますが、食事は体調を整える基盤となるため、気を付けなければなりません。
  • ケア:
    • バランスの取れた食事: 野菜、果物、タンパク質、全粒穀物を含むバランスの取れた食事を心がける。
    • 水分補給: 十分な水分を摂取し、体内のデトックスを促進する。
    • 食習慣の見直し: 規則正しい食事時間を守り、夜遅くの食事や過食を避ける。

3. 運動不足

  • 原因: デスクワークや座りっぱなしの生活習慣は、筋肉の衰えや血行不良を引き起こし、不調の原因となります。
  • ケア:
    • 定期的な運動: ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を定期的に行う。
    • ストレッチ: 日常的にストレッチを行い、筋肉の柔軟性を保つ。
    • 筋力トレーニング: 筋力を維持するための軽い筋トレを取り入れる。

4. 睡眠不足

  • 原因: 不規則な生活リズムやストレスが原因で、十分な睡眠が取れないと体調不良を引き起こします。
  • ケア:
    • 睡眠習慣の改善: 規則正しい睡眠スケジュールを守り、毎日同じ時間に寝起きする。
    • 睡眠環境の整備: 快適な寝具や静かな環境を整え、睡眠の質を向上させる。
    • リラクゼーション: 就寝前にリラックスできる活動(読書、軽いストレッチ)を行う。

5. 慢性的な病気の管理

  • 原因: 糖尿病や高血圧などの慢性的な疾患が、体調不良の原因となることがあります。
  • ケア:
    • 定期的な医療チェック: 定期的に医師の診察を受け、健康状態を確認する。
    • 投薬管理: 医師の指示に従って、適切な投薬を行う。
    • 生活習慣の見直し: 病気の管理に有効な食事や運動を取り入れる。

まとめ

健康や体調の不調を感じている人々は、原因を理解し、適切なケアを行うことが重要です。ストレス管理、適切な食生活、運動習慣、十分な睡眠、慢性疾患の管理など、包括的なアプローチを採用することで、ウェルビーイングを向上させることができます。健康な生活を送るためには、日常の習慣を見直し、持続可能な健康管理を実践することが大切なポイントとなります。

美容にも嬉しい|ヘルスケアと美容の関係

実はヘルスケアと美容の関連は密接であると指摘されており、健康管理をしっかり行うことで美容面にも多くの嬉しい効果が期待できます。
ヘルスケアに効果的とされる内容は美容にとっても効果的であることが期待されます。

1. 栄養バランスの取れた食事

ヘルスケアの効果:バランスの取れた食事は、体内の栄養バランスを整え、免疫力を高め、全身の健康を維持するために不可欠です。

美容への効果:
  • 肌の健康: ビタミンC、E、亜鉛、オメガ-3脂肪酸などの栄養素は、肌のハリと潤いを保つために重要です。抗酸化作用により、肌の老化を防ぎます。
  • 髪と爪の強化: 鉄分やビオチン(ビタミンB7)は、健康な髪と爪の成長を促進します。

2. 定期的な運動

ヘルスケアの効果:運動は心血管系の健康を促進し、筋力を維持し、ストレスを軽減します。また、代謝を活性化し、体重管理にも役立ちます。

美容への効果:
  • 肌の輝き: 運動による血行促進は、肌に酸素と栄養を届け、健康的な輝きをもたらします。また、汗をかくことで老廃物の排出が促進され、毛穴が清潔に保たれます。
  • 体型の維持: 適度な運動は体脂肪の減少と筋肉の引き締めに効果があり、美しいボディラインを保ちます。

3. 十分な睡眠

ヘルスケアの効果:睡眠は体の修復と回復に重要であり、免疫機能の向上やホルモンバランスの維持に寄与します。

美容への効果:
  • 肌の再生: 睡眠中に分泌される成長ホルモンは、細胞の修復と再生を促進し、肌の状態を改善します。
  • クマやむくみの軽減: 十分な睡眠は目の周りのクマや顔のむくみを軽減し、疲れた印象を和らげます。

4. ストレス管理

ヘルスケアの効果:ストレスは多くの健康問題の原因となりますが、適切なストレス管理は心身の健康維持に役立ちます。

美容への効果:
  • 肌荒れの防止: ストレスはホルモンバランスを崩し、ニキビや肌荒れの原因となります。ストレス管理は肌のトラブルを防ぐのに役立ちます。
  • 若々しさの維持: ストレスホルモンのコルチゾールは老化を促進しますが、リラクゼーションやストレス解消は老化の進行を遅らせる効果があります。

5. 水分補給

ヘルスケアの効果:水分補給は全身の代謝をサポートし、内臓の機能を最適化します。

美容への効果:
  • 肌の保湿: 十分な水分摂取は肌の潤いを保ち、乾燥やシワを防ぎます。
  • デトックス: 水分は体内の老廃物を排出するのに役立ち、透明感のある肌を維持します。

まとめ

ヘルスケアは、美容の基盤となる重要な要素です。健康な体は美しさの源であり、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠、ストレス管理、水分補給などの健康管理を行うことで、美容面にも多くのメリットが得られます。これらの健康習慣を取り入れることで、内面から輝く美しさを実現し、より充実した生活を送ることができるでしょう。

ヘルスケアに必要な3つのステップ|知ること「チェック」→評価→対策「ケア」

健康管理を効果的に行うためには、自身の状態を正確に把握し、それを評価し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、これらのステップを具体的に説明します。

① 知ること「チェック」:自身の状態を知ること

健康管理の第一歩は、自身の健康状態を正確に把握することです。定期的なチェックを行うことで、早期に問題を発見し、適切な対応を取ることができます。

  • 定期健診: 年に一度の健康診断を受け、基本的な健康状態を把握します。
  • セルフモニタリング: 家庭用の血圧計、体温計、体重計、スマートウォッチなどを使用し、日常的に自身の健康状態をチェックします。
  • 記録: 食事、運動、睡眠のパターンを記録し、日常の健康状態をデータとして蓄積します。

② 評価:①のデータを評価すること

チェックで得られたデータを評価することにより、健康状態を正確に理解し、潜在的なリスクを特定します。

  • データ分析: 健康診断やセルフモニタリングで得られたデータを分析し、標準値と比較します。
  • 専門家の助言: 医師や栄養士などの専門家にデータを見てもらい、専門的な評価を受けます。
  • 健康状態の評価: データに基づいて、健康状態や生活習慣の改善点を明確にします。例えば、高血圧や高血糖などのリスクがあれば、それに対応する具体的な改善策を考えます。

③ 対策「ケア」:②を受けて、対策を選定、実行すること

評価に基づいて、具体的な対策を選定し、実行することが大切です。対策は、生活習慣の改善や必要に応じた医療措置などを含みます。

  • 生活習慣の改善: 食事、運動、睡眠の質を見直し、改善策を取り入れます。
    • 食事: 栄養バランスの取れた食事を心がけ、特定の栄養素を意識的に摂取します。
    • 運動: 定期的な有酸素運動や筋力トレーニングを行い、体力を維持します。
    • 睡眠: 十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとるための環境を整えます。
  • 医療措置: 必要に応じて、医師の指示に従い、薬物療法やリハビリテーションなどの医療措置を行います。
  • 継続的なモニタリング: 改善策を実行しながら、継続的に健康状態をチェックし、必要に応じて対策を見直します。

まとめ

ヘルスケアにおいて重要な3つのステップは、「チェック」「評価」「ケア」です。まず、自身の健康状態を知ることから始め、それを評価し、適切な対策を講じることが大切です。このプロセスを継続的に行うことで、健康リスクを減らし、より良い生活を送ることが可能になります。

ヘルスケアの内容については、下記の引用元を参考に参照させていただき、一般的な健康管理の原則や公衆衛生の知識に基づいて記載しています。具体的な内容やガイドラインについては、これらの情報源を直接参照することをお勧めします。

  1. 世界保健機関(WHO): 世界保健機関は、健康と福祉に関する国際的なガイドラインを提供しています。健康診断の重要性、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠など、基本的な健康管理の原則についての情報を提供しています。
  2. 米国疾病予防管理センター(CDC): CDCは、個人の健康管理に関する包括的なガイドラインを提供しており、健康診断、予防接種、運動、栄養、睡眠、ストレス管理などの重要性について詳しく述べています。
  3. 日本WHO協会: WHOの日本支部ではなく、WHOの理念に賛同し、WHOとの連携のもとで国内外において健康増進活動を行っている民間の法人。WHOが実施している活動や有益な情報を多くの人たちに知っていただくという活動を行う。
  4. ハーバード公衆衛生大学院: ハーバード公衆衛生大学院は、健康管理と予防医学に関するリサーチと教育を行っており、食事、運動、睡眠、ストレス管理などの重要性について詳細な情報を提供しています。

日本人の睡眠時間はOECD33か国でワースト1位※1)

睡眠による休養感(休まった感覚)は適切な睡眠の目安と言われていますが、国の調査では十分な休養が取れていない人の割合は2割程度であり、2012年より増加傾向となっています。※2)
睡眠時間が減り、睡眠不足や不調が続くと健康へのリスクが高まることが指摘されています。

睡眠満足度調査において、「満足」は17%となり、最も多い「不満」の理由は「眠りが浅い」となっており、「ぐっすり眠った」と感じない人が少なくありません。また、日中の眠気を感じる人は 89%にも上り、交通事故アクシデントも懸念されています。