バイオマスボイラー導入|燃料費削減効果の計算方法と費用シミュレーション

バイオマスボイラー導入による燃料費削減効果と費用シミュレーションについて、具体的な計算事例を元に試算のステップを記載します。

木質廃棄物活用の意義

木製品の加工製造・販売を行う企業にとって、木の廃棄や廃棄の処理は大きな課題です。従来の焼却から、バイオマスボイラーによる熱利用への転換は、環境負荷の軽減とコスト削減の両立が可能です。

1.燃料費削減効果の計算方法

1.1 現状の燃料費の把握

(例) 重油ボイラーを使用している場合
 年間重油使用量: 100,000リットル
 重油料金: 100円/リットル
 年間燃料費: 100,000リットル × 100円/リットル = 1,000万円

1.2 バイオマスボイラー導入後の燃料費の試算

(例)木質チップボイラーにかかる場合必要熱量を同等と仮定し、木質チップ必要量を計算
 木質チップ必要量: 300ton/年
 木質チップ要: 10,000円/トン
 年間燃料費: 300トン × 10,000円/トン= 300万円

1.3 燃料費削減効果の計算

削減効果 = 現状の燃料費 – バイオマスボイラー導入後の燃料費= 1,000万円 – 300万円 = 700万円/年

この例では、年間700万円の燃料費削減効果が見込まれます。

1.4 長期的なコスト経過の予測

  • 化石燃料価格の上昇率を年2%と仮定
  • 木質チップ価格は比較的安定と仮定し、年0.5%の上昇と仮定

10年後の燃料費比較:重油: 1,000万円 × (1.02)^10 = 1,219万円木質チップ: 300万円 × (1.005)^10 = 315万円

10年後の削減効果: 1,219万円 – 315万円 = 904万円/年

このように、長期的には削減効果がさらに大きくなる可能性があります。
実際の計算では、ボイラーの効率や運転時間、燃料の含有水率なども考慮に入れる必要があります。
また、地域や時期によって燃料価格が変動するため、複数年のデータを基準に平均値を使用するなど、より精度の高い試算を行うことが重要です。

木質廃棄物の有効活用:バイオマスボイラー導入のすすめ

2.バイオマスボイラーの導入事例と試算

事例:A社の取り組み

A社は年間500万円の暖房費を削減するために、バイオマスボイラーの導入を決定しました。

2.1 システム概要

  • 木質ボイチップラー(500kW級)
  • 燃料供給装置
  • 熱交換器
  • 配管システム

2.2 導入コストの試算

  • ボイラー本体:3,000万円
  • 付帯設備:2,000万円
  • 工事費:1,500万円合計:6,500万円

2.3 補助金の活用

環境省の「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」を活用した場合:

  • 補助率:2/3
  • 補助金額:4,333万円
  • 実質負担額:2,167万円

3. 経済性評価

3.1 燃料費削減

  • 現状の暖房費:500万円/年
  • バイオマスボイラー燃料費:100万円/年(自社廃材利用)
  • 年間削減額:400万円

3.2 回収期間

2,167万円 ÷ 400万円/年 = 約5.4年

4.発電システム追加導入

4.1 システム概要

  • ORC(Organic Rankine Cycle)発電機(50kW級)
  • 追加費用:3,000万円

参照元:電力安全小委員会 (METI/経済産業省)有機ランキンサイクル方式のバイナリー発電設備に係る監視方法の見直し

4.2 補助金活用(経済産業省「地域の系統線を活用したエネルギー面の利用事業費補助金」)

  • 補助率:1/2
  • 補助金額:1,500万円
  • 実質負担額:1,500万円

参照元:再生可能エネルギー事業事例集:再エネガイドブックweb版│資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

4.3 経済効果

  • 年間発電量:約40万kWh
  • 節電:20円/kWhを想定
  • 年間削減額:800万円

4.4 追加回収期間

1,500万円 ÷ 800万円/年 = 約1.9年

5. 総合評価

バイオマスボイラーと発電システムの導入により、初期投資3,667万円(補助金活用後)に対して、年間1,200万円のコスト削減が見られます。投資回収期間は約3.1年となり、長期的な経済効果が期待できます。さらに、CO2排出量の大幅削減や地域のエネルギー自給率向上にも貢献し、企業の社会的責任(CSR)の観点から有意義な投資を検討いたします。