新規事業の進め方|8つのSTEPと注意点

新規事業を始める時に、注意すべきこと(中小企業の新規事業|よくある声・注意事項と対策 )を踏まえて、進めていくことが大切です。
新規事業を検討するときには、複数人のメンバーが関りプロジェクトとして進めていくことが多いため、特に認識のズレがないようにすることが必要になります。ここでは、新規事業を進める上で必要な8つのステップのうち、最初の3ステップについて、各ステップで必要なプロセスや注意点から概要を記載しています。各ステップを把握して全体のストーリーを描くことが重要になります。

新規事業開発の8つのステップ

1.ビジョン、目的の明確化:理念と目指す方向の確認

新規事業に取り組む目的は何ですか?

新規事業を行う場合、その目的は企業によって異なります。主な理由には、従来のビジネスモデルの変更、下請け企業からの脱却ー自社製品(オリジナル商品)の企画・開発、認知拡大があります。
従来のビジネスだけでは、売上拡大が難しため、新たな取組みや商品、サービスの提供を検討したいといった目的も挙がります。ものづくり企業や素材メーカーの場合は、BtoB向けの事業を主軸にしてきたことにより、下請けの構造から抜けられない、認知度が低い、といった課題があり、BtoC向けの事業の展開を検討する場合も少なくありません。
また、それにより企業の認知を知ってもらう機会を広めたいといった認知拡大を目的としている場合もあります。

ビジョンと理念の共有:目的への照らし合わせ

目的を明確化する際に、特に注意しなければならないことは、会社の理念やビジョンを確認すること、および目的が会社の理念やビジョンに則っているかということです。
売上拡大という目的のために取り組む事業が、会社の理念やビジョンに則っていない内容であれば、良いビジネスモデルを描いたとしても事業を存続、運営させていくことは難しいものとなります。

また、事業立上げを検討、進めていく際にも理念やビジョンに則っているかということは大事な判断軸となります。
最初に、会社の理念やビジョンを明確にし、共有することでプロジェクトに関わるメンバーが同じ指針を持つことが可能になります。

自社で新しい事業について、なぜ取り組むかという目的を理念やビジョンと照らし合わせて認識することで、事業立上げの際の各プロセスにおいて整理することを可能にし、仕組み化やビジネスモデルを構築していく際の大事な軸となります。

強みである技術やサービスをどこに活かせるのか?
どのような商品を作ることが良いのか?
ターゲットや販路が変わることのメリットやデメリットは何か?
新規事業を進めるには、目的に応じてこれらを整理し、リスクを把握しなければなりません。
目的に至る背景、企業の理念やビジョンを新規事業開発のチームや担当者が共有することが最初に必要なステップです。

2.目標の定量化と共有:時期と数値

目的が明確化されたら、その目標について数値で表し、プロジェクトに関わる人が共通でゴールを認識できるようにすることが必要です。
売上であれば、いつまでに何倍またはいくら、といった設定があります。新商品の開発においては、どのような商品をどの程度の規模で販売するのか、認知拡大であれば、どのようなターゲットのどの程度の割合や数に知ってもらいたいのか、目指すべき目標を定量的に表すことが必要です。
そもそも事業を始める前に目的を定量化することで、その数値の現実性や市場性を検討することができます。
特に、現場とトップでは数値の乖離があることも少なくありません。
目的が定量的に把握、共有されることで新規事業の検討において判断軸として活用することが可能となります。

3.現状把握:現在地とゴールまでの距離の確認

リソースの確認

事業の実現可能性を評価するため、挑戦可能な技術や資産、人材などの資源を明確にすることが必要です。
具体的な取り組み:
•技術や商品、サービス面での課題や障壁を洗い出し、解決策を検討します。
目的: 障害や課題を特定し、解決策を模索する。
方法: 専門家との協力や技術評価を行う。
•必要な人材、設備、資金調達の可能性を確認し、リソースの確保計画を策定します。
目的: 必要な人材、設備、資金の確保を計画する。
方法: 外部のパートナーシップや資金調達の選択肢を評価する。

環境把握と市場分析

企業の置かれた業界、市場や社会影響の把握、自社および競合の分析を行います。

◦市場調査と競争分析
目的: 新規事業の市場適合性を確認し、競合他社の動向や顧客ニーズを把握します。
具体的な取り組み:
顧客インタビューやアンケート調査を実施して市場のニーズを明確化します。
競合他社の製品やサービスを分析し、差別化ポイントや市場での位置付けを把握します。

ゴールまでの道のりの把握